執念の勝利
論文は、去年のこの時期にサブミットされ、
アクセプトに1年がかかった。
私は、あまりそのように長い時間のかかった論文を知らない。
当人が、すごい発見だと信じていたのもあるだろうけど、
上司がサポートした面も大きいだろう。
それ以上に、査読者のコメントを乗り越えて、
投稿に漕ぎ着けた執念がすこい。
おそらくここまでアクセプトが伸びた理由のひとつが、
なぜ弱酸性の環境に細胞を晒すと、
細胞のリプログラミング機構が働くのかという、
原理の部分が示されていなかったことが、
査読者のコメントとしてあったのだろうと思う。
発表された論文でも、そこがあまりは示されていなかったけど、
再現性や、プロセスによって生じる現象を丁寧に示していて、
結果を誰の目にも明らかにしたことがアクセプトに繋がったのだろう。
この結果はノーベル賞級の結果だけど、
世の中にはノーベル賞レベルの研究が賞の数に足りない程ある上、
同じ研究には2度とノーベル賞は授与されないことから、
彼女がノーベル賞を受けることは難しいだろう。
(仮に、もしノーベル賞になるとするなら、
賞の授与に対する題目は何になるだろうか)
実用が相当なレベルで進んで、誰かによる、その他の優れた研究と、
一緒に受賞することならあり得るのかな。